閉店三十分前|音が落ちる時間「この後」に縛られる人々(前半)

漫画 閉店三十分前|音が落ちる時間。閉店三十分前、店の音量が一段落ち、さらにグラスの触れ合う音だけがやけに大きく聞こえる。

この物語は、同じ店、同じ夜の中で、立場も事情も違う5人の視点を順に追っていきます。たとえば、勝った者には「この後」の約束が重くのしかかり、反対に負けた者には秘密の誘いが届く。しかも、店の外に出た女は現実へ戻り、一方で店に残る男は別の闇を抱えていく。そして最後の夜に賭ける女が、笑顔のまま分かれ目に立つ——。

つまり、短い時間なのに、それぞれの人生が動く。だからこそ最後は、シャッターの音とともに、一つの夜として収束します。

(閉店三十分前|音が落ちる時間) 音量が一段落ちる。 グラスの触れ合う音だけが、やけに大きく聞こえた。
壁の時計は、閉店三十分前を指している。 この時間になると、店の空気は少し冷える。 まだ終わっていないのに、もう結果だけが残る。
(勝った夜ほど自由がない|閉店三十分前) 今日の数字は十分だった。 やり切った、と言っていい。 無理に席を回らず、最後の一杯を静かに勧める。 笑顔は自然だ。
だが胸の奥では、別の時計が動いている。 この後、年上の女とホテル。断れない約束。 勝った夜ほど、自由はないと知っている。
負けた夜に開く扉|閉店三十分前 席がない。 壁際で時計ばかりを見る。今日は何一つ残らなかった。 名前も、数字も、会話も。
そんな時、先輩から秘密の誘いが届く。 誰にも言うな、と。何も分からないまま、ただ聞いていた。
自由に見える女 会計後、店の外。 名刺を見つめる。 綺麗に飲んだ。 褒められた。
でも本当に欲しかった言葉は、もらっていない。 帰ればスポンサーが待っている。 嫌な手、嫌な息。 この生活を保つために、 今日も我慢する。
一番冷静な男|閉店三十分前 無言でグラスを拭く。 誰が勝ったかも、負けたかも知っている。
でも評価はしない。仕事だから。 早く終わらせて帰るだけ。
ただ、この後の闇ポーカーが頭から離れない。借金は減らない。 一番冷静な顔が、一番追い込まれている。
最後の夜にかけた女|閉店30分前 鏡の前で女が口紅を直す。 アフターの準備。 次の顔、次の場所。 でも分かっている。
今日もきっと、適当なアフターだ。 抱かれなければ、もう帰る。 秋田に。 この夜が、人生の分かれ目だと 知りながら、笑顔を作る。
シャッターが下りる|閉店三十分前 店は終わる。 全員、別々の方向へ歩き出す。 同じ夜にいた事実だけが、もう関係なくなる。全員が「この後」に期待し、怯え、縛られ、先送りにされている夜だった。 誰も、今を見ていなかった。

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なお本作品は、ホスト小説ドットコム ホスト小説 短編集閉店三十分前|誰も「今」を生きていない夜を漫画化したものです。
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